ストラディヴァリウス

ただどの記事を読んでも、どのストラディヴァリウスが使われどんな現代のヴァイオリンと比較したのか書かれていません。そこで記事のソースを探してみました。
どうやらこれのようです。
http://www.pnas.org/content/early/2012/01/02/1114999109.abstract
http://www.pnas.org/content/suppl/2012/01/02/1114999109.DCSupplemental/pnas.201114999SI.pdf
大雑把に
実験内容
・用意された古い楽器はストラディバリウス2丁、ガルネリ1丁。
・新しいヴァイオリン3丁は詳細不明だが、安物では無い。
・奏者はコンクールの参加者のほか審査員、協演オケの団員など。
・奏者自身が弾いてどちらが好ましいか自己判断する。
・各奏者には以下の2種類をやってもらう。
A:新古各1本を1分ずつ弾き比べて良い方に投票。これを9回
B:6丁を20分間自由に弾き比べて1本を選ぶ
結果
・Aの得票数は新グループが112、古グループが77。
・Bの得票数は新グループが13、古グループが8。
・A、Bを通して最も票を集めたのは新グループのうちの1丁(Aで39票、Bで8票)。
・逆に最も票が少なかったのはストラディバリのうちの1丁(Aで14票、Bで1票)。
う~~ん、この程度のテストで結論を出しても良いのだろうか・・・。
やはり、およそ600丁程残っているとされるストラディヴァリウスのうちのどれが使われたかわかりません。
またそのストラディヴァリウスが普段弾かれているものなのか、全く使われてないものなのかもわかりません。
これはけっこう重要な要素だと思います。
また弦や弓は最適なものが使われていたかどうか、これもかなり重要な要素だと思うのですが。
果たして公平な実験でしょうか、いや、実験する意味があるのだろうか、と思ってしまいます。
考えてみるとヴァイオリン製作者は可哀想ですね。
どんなに良いヴァイオリンを作ってもストラディヴァリスには及ばないとされてしまうのですから。
そしてそもそも、そのストラディヴァリウス自体が、作られた当時とは全く異なる楽器になっているということを知らない人も結構多いのでは無いかと思うのです。
現在演奏に使われているストラディヴァリウスは、現代風の改造を受けています。
まずボディとネックの間の角度が大きくなり、駒が高くなっています。
これによりボディにかかる圧力が大きくなり、内部のバスバーも大きなものに取り替えられています。
「ストラディヴァリウス改」になっているんですね。
現在使われているものでオリジナルのまま(勿論修理はされているでしょうが)のものはあるのでしょうか?
タリシオとヴィヨームの創りだした幻影が、多くの年月と多くの演奏家の手を経て、巨大なモンスターに変貌してしまったようです。
当のストラディヴァリは、天国でどのように思っているのでしょう?
- 関連記事
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- ストラディヴァリウス (2012/01/07)
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コメント
No title
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licksloopさん、こんばんは。
そもそもこんな実験をすること自体が、ヴァイオリン界が健全では無い、ってことのような。
ストラディヴァリ・コンプレックスとか、ストラディヴァリ症候群とか、ストラディヴァリ教とか・・・
そもそもこんな実験をすること自体が、ヴァイオリン界が健全では無い、ってことのような。
ストラディヴァリ・コンプレックスとか、ストラディヴァリ症候群とか、ストラディヴァリ教とか・・・
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古楽奏者が使うストラディバリの多くはモダン仕様に改造されたのを再びバロック仕様に戻したものじゃないでしょうかね?
以前、ロンドン・バロックの演奏会を聴いたとき、第一vlはストラディバリ、第二vlは新作ものでしたが、私は第二vlの音が好きだなと思いました。
第一vlは倍音が甲高く、やや耳触り;、第二vlは木の音がしていましたv
モダン化ストラディバリは聴きにいったこともないのでわかりません^^;
以前、ロンドン・バロックの演奏会を聴いたとき、第一vlはストラディバリ、第二vlは新作ものでしたが、私は第二vlの音が好きだなと思いました。
第一vlは倍音が甲高く、やや耳触り;、第二vlは木の音がしていましたv
モダン化ストラディバリは聴きにいったこともないのでわかりません^^;
No title
PS. オリジナルのまま300年間残っていたストラディバリもあったそうで、それを某日本人演奏家はモダン使用に改造させたらしく・・・貴重な歴史資料の破壊です;
No title
正直、あるレベルを越えたら、音の善し悪しでは無く好みの違いとしか言いようの無いような・・・
古楽関係者以外は、ほぼモダン仕様に改造と考えて差し支えないでしょうね。
300年間・・・ってのはおそらくデュランティのことですね。
古楽関係者以外は、ほぼモダン仕様に改造と考えて差し支えないでしょうね。
300年間・・・ってのはおそらくデュランティのことですね。
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>おそらくデュランティ
ごめいさつ、
リュートなんて安いですね^^モダンギターは、、200万のより、50万のほうがずっと良かったりするのでチョット危ない^^;でも家を売って買うほど高いのはないので、可愛いもんですが。
ごめいさつ、
リュートなんて安いですね^^モダンギターは、、200万のより、50万のほうがずっと良かったりするのでチョット危ない^^;でも家を売って買うほど高いのはないので、可愛いもんですが。
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リュートの場合は、入門価格は高いですが上限は大したことありませんからね。
オリジナルのリュートはどうなんでしょうね。
豊彦さんのグライフやリンドベリのラウヴォルフはいくらぐらいしたんだろう、と下世話な事を考えてしまいす。
オリジナルのリュートはどうなんでしょうね。
豊彦さんのグライフやリンドベリのラウヴォルフはいくらぐらいしたんだろう、と下世話な事を考えてしまいす。
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>オリジナルのリュートはどうなんでしょうね。
某ヴァイオリンのように、値段がつり上がったら買わないでしょうね、ボロ儲けしているリュート奏者なんていないでしょうから^^;
某ヴァイオリンのように、値段がつり上がったら買わないでしょうね、ボロ儲けしているリュート奏者なんていないでしょうから^^;
No title
さすがに◯億どころか◯千万ってのは無いかな?
この楽器
http://www.metmuseum.org/toah/works-of-art/2008.3
の話が某リュート制作家のところに来たときは500万円(当時のレートで)くらいだったらしいです。
この楽器
http://www.metmuseum.org/toah/works-of-art/2008.3
の話が某リュート制作家のところに来たときは500万円(当時のレートで)くらいだったらしいです。
No title
>この楽器
修復して、素晴らしい現役楽器となる、あるいはオリジナル資料として大いに役立つ、としたら価値あるでしょうけどね?;
で、買われたんでしょうか。
修復して、素晴らしい現役楽器となる、あるいはオリジナル資料として大いに役立つ、としたら価値あるでしょうけどね?;
で、買われたんでしょうか。
No title
結局この制作者は買ってませんが、採寸して楽器を作ってます。
オリジナルの楽器は、どういう経緯かは知りませんがメトロポリタン美術館に収まってますね。
オリジナルの楽器は、どういう経緯かは知りませんがメトロポリタン美術館に収まってますね。
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たしかに、偏った実験かもしれません。
ストラディバリだからといってすべてがいい音を出すわけでもないですし。(おそらく)
その楽器のコンディションもあるでしょう。
新品は新品なりのハンディ、
時代を経たものはそれないのダメージがあるでしょうから。
難しいですね。