ハイペリオン
久しぶりのSFカテですね。
調べてみたらほぼ1年ぶりです。
「ハイペリオンへもどってもらいたい――<百舌(シュライク)>を訪う巡礼のひとりとして」
ばかをいえ、と領事は思い、ピットを出ようと立ち上がった。マイナ・グラッドストーンの声は先をつづけた。
「きみを含む七名は、シュライク教団によって巡礼に選ばれ、万民院(オールシング)の承認も受けた。もどってもらえれば、連邦としてもありがたい」

人類がAIの力を借りて造り上げた「ウェブ」という惑星連合体。
このウェブを管理しているのが「独立自律知性群<テクノコア>」で、その予測能力は連邦の政策をも左右するものでした。ところがそのコアにすら予測できない不確定要素が、辺境の惑星ハイペリオンに存在する<時間の墓標(タイム・トゥーム)>と、時空を超越した謎の怪物シュライク。
そしてウェブに属さないアウスターの跋扈。
ウェブの危機に7名の巡礼が選抜され、時間の墓標へと向かいます。
一見何の関連も無いと思われた7名の話は、やがて一つの大きな物語へと収斂し、人類の運命を変える決戦へと移っていきます。
そして最後に待っている大どんでん返し。
SFを下敷きにした一大叙事詩とも呼ぶべき作品で、決して万人向きではありません。
とにかく長い。
しかも背景がなかなかはっきりしないので、けっこうフラストレイションが溜まります。
それだけに一気に訪れるカタルシスは爽快。
そう言えばこの作品、某アニメの中でキイ・アイテムの1つになっていたようです。

調べてみたらほぼ1年ぶりです。
「ハイペリオンへもどってもらいたい――<百舌(シュライク)>を訪う巡礼のひとりとして」
ばかをいえ、と領事は思い、ピットを出ようと立ち上がった。マイナ・グラッドストーンの声は先をつづけた。
「きみを含む七名は、シュライク教団によって巡礼に選ばれ、万民院(オールシング)の承認も受けた。もどってもらえれば、連邦としてもありがたい」

人類がAIの力を借りて造り上げた「ウェブ」という惑星連合体。
このウェブを管理しているのが「独立自律知性群<テクノコア>」で、その予測能力は連邦の政策をも左右するものでした。ところがそのコアにすら予測できない不確定要素が、辺境の惑星ハイペリオンに存在する<時間の墓標(タイム・トゥーム)>と、時空を超越した謎の怪物シュライク。
そしてウェブに属さないアウスターの跋扈。
ウェブの危機に7名の巡礼が選抜され、時間の墓標へと向かいます。
一見何の関連も無いと思われた7名の話は、やがて一つの大きな物語へと収斂し、人類の運命を変える決戦へと移っていきます。
そして最後に待っている大どんでん返し。
SFを下敷きにした一大叙事詩とも呼ぶべき作品で、決して万人向きではありません。
とにかく長い。
しかも背景がなかなかはっきりしないので、けっこうフラストレイションが溜まります。
それだけに一気に訪れるカタルシスは爽快。
そう言えばこの作品、某アニメの中でキイ・アイテムの1つになっていたようです。

火星年代記

こわいから来た人、こわくないから来た人、幸福だから来た人、不幸だから来た人、巡礼の気持ちで来た人、巡礼の気持ちを持たずに来た人。それぞれの理由があった。悪妻や、辛い仕事や、居心地のわるい町から逃げて来た人。何かを見つけるために、何かを見捨てるために、何かを手に入れるために、何かを掘り出すために、何かを埋めるために、小さな夢を抱き、大きな夢を抱き、あるいは全く夢を持たずにやって来た。
SFと呼ぶにはあまりに詩的で、また寓意に満ちた作品です。
ずいぶんと久しぶりの「SFカテ」ですね。
忘れていたわけでも紹介したい作品が無かったわけでもなく、書き始めると長くなってしまうので、ただ単にまとまった時間が無かっただけです。
書名 火星年代記 ("The Martian Chronicles)
作者 レイ・ブラッドベリィ (Ray Bradbury,1950)
訳 小笠原豊樹
出版 早川書房
「華氏451度」と並ぶブラッドベリィの代表作です。
人類の火星到着と火星人との出会い、そして火星人の謎の失踪。
人類は、まるでヨーロッパから新天地を目指してやってきた人々のように火星に住み着いていきます。
そして・・・
全26話の短編からなる本書は、批判と風刺に満ち、大人のための寓話と呼んで差し支えないでしょう。
運河に着いた。運河は、夜の中で、長々とまっすぐ横たわり、冷たく濡れて、光を反射していた。
「ぼく、とても火星人がみたかったんだ」と、マイケルが言った。「どこにいるの、パパ? 見せてくれるって約束したじゃないか。」
「そうら、そこにいるよ。」パパは、マイケルを肩の上に移して、真下の水面を指さした。
火星人がそこにいた。ティモシイは震えはじめた。
火星人はそこに-水面に映っていた。ティモシイと、マイケルと、ロバートと、ママと、パパと。
火星人たちは、ひたひたと漣波の立つ水のおもてから、いつまでもいつまでも、黙ったまま、じっとみんなを見あげていた。
宇宙船ビーグル号の冒険
「ビーグル号」と言えば、チャールズ・ダーウィンが冒険のために乗り込んだ帆船の名前ですが、SFファンの間では宇宙船の名前を指します(本当?)。

宇宙船ビーグル号の冒険
A.E.ヴァン・ヴォークト (A. E. van Vogt) 1950年
1000人の科学者を乗せた巨大な宇宙船ビーグル号が、宇宙探査の過程で、高い知能を持った大柄なネコのような生物「ケアル(クァール)」、人体に卵を産みつけ子孫を残そうとする「イクストル」等といった様々な宇宙生物に遭遇し、危機を乗り越えながらも探査を続けていきます。
と、まるで「スター・トレック」のようなお話です。
人間の側の視点だけでなく、宇宙生物の側からの視点も描かれているのは斬新ですね。
ちなみに上に挙げた二体の生物、「ケアル」は某マンガや某RPGに登場、また「イクストル」は映画「エイリアン」のヒントになったとも言われています。
これだけなら普通のスペース・オペラと余り変わりがないのですが、主人公のグローブナーの専攻する学問が「総合科学(ネクシャリズム)」という少し変わったもの。
これはどんな学問かというと、簡単に言ってしまえば「専門バカ」の対極的な学問。
さまざまな専門分野の科学を、複合的にコーディネイトして活用していく、とでも言えばいいのでしょうか。
グローブナーは科学者仲間の間では全く力を持っていない存在でしたが、さまざまな危機に対し、それぞれの科学者が専門分野の陥穽にはまってうまく対処できない中、ネクシャリズムによって、その危機を乗り越えていき、次第に勢力を増していきます。
この学問は中々興味深いですね。
実はこの作品を初めて読んだのは随分昔、まだ中学生ぐらいの頃です。
父親が買って読んでいたものを借りて読んだのです。
ベルヌやウェルズ以外では、初めてのSF作品だったかも知れません。
その後父親の買ったものは引越しのどさくさに紛れて行方不明に。また読みたくなって自分で買ってしまいました。
それぞれの宇宙生物も魅力的ながら、この「ネクシャリズム」の考え方は、私自身にも少なからず影響を与えているように思えます。

宇宙船ビーグル号の冒険
A.E.ヴァン・ヴォークト (A. E. van Vogt) 1950年
1000人の科学者を乗せた巨大な宇宙船ビーグル号が、宇宙探査の過程で、高い知能を持った大柄なネコのような生物「ケアル(クァール)」、人体に卵を産みつけ子孫を残そうとする「イクストル」等といった様々な宇宙生物に遭遇し、危機を乗り越えながらも探査を続けていきます。
と、まるで「スター・トレック」のようなお話です。
人間の側の視点だけでなく、宇宙生物の側からの視点も描かれているのは斬新ですね。
ちなみに上に挙げた二体の生物、「ケアル」は某マンガや某RPGに登場、また「イクストル」は映画「エイリアン」のヒントになったとも言われています。
これだけなら普通のスペース・オペラと余り変わりがないのですが、主人公のグローブナーの専攻する学問が「総合科学(ネクシャリズム)」という少し変わったもの。
これはどんな学問かというと、簡単に言ってしまえば「専門バカ」の対極的な学問。
さまざまな専門分野の科学を、複合的にコーディネイトして活用していく、とでも言えばいいのでしょうか。
グローブナーは科学者仲間の間では全く力を持っていない存在でしたが、さまざまな危機に対し、それぞれの科学者が専門分野の陥穽にはまってうまく対処できない中、ネクシャリズムによって、その危機を乗り越えていき、次第に勢力を増していきます。
この学問は中々興味深いですね。
実はこの作品を初めて読んだのは随分昔、まだ中学生ぐらいの頃です。
父親が買って読んでいたものを借りて読んだのです。
ベルヌやウェルズ以外では、初めてのSF作品だったかも知れません。
その後父親の買ったものは引越しのどさくさに紛れて行方不明に。また読みたくなって自分で買ってしまいました。
それぞれの宇宙生物も魅力的ながら、この「ネクシャリズム」の考え方は、私自身にも少なからず影響を与えているように思えます。
タグ : 宇宙船ビーグル号の冒険 ヴァン・ボークト ネクシャリズム
九百人のお祖母さん

今回紹介する作品は、果たしてSFと言っていいのかどうか、非常に迷うところですが、一応「SF」ということにしておきましょう。
書名;九百人のお祖母さん
作者;R.A.ラファティ
訳者;浅倉久志
出版;早川書房 1988年
ラファティが1960年から1970年にかけて書いた短(中)編集です。
収録作品は
九百人のお祖母さん
巨馬の国
日のあたるジニー
時の六本指
山上の蛙
一切衆生
カミロイ人の初等教育
スロー・チューズデー・ナイト
スナッフルズ
われらかくシャルルマーニュを悩ませり
蛇の名
せまい谷
カミロイ人の行政組織と習慣
うちの町内
ブタっ腹のかあちゃん
七日間の恐怖
町かどの穴
その町の名は?
他人の目
一期一宴
千客万来
ラファティとはどんな人か、本人の自己紹介を載せておきましょう
わたしは順不同にいうと、五十一歳、独身、電気技師、でぶである。
もう、この書き出しからして、ちょっと変。
(中略) ある作家養成雑誌で、SFなら書きやすいというバカな考えを吹きこまれたのである。わたしにはちっとも書きやすくない。このジャンルの大半の作家がSFを読んで育ったらしいのにひきかえ、わたしはそうではなかったからかも知れない。
普通のSF作家・・・というか作家ともかなり異なるようです。
趣味は外国語。外国語ならなんでもいい。 (中略) 政治的にはアメリカ中道党(セントリスト・パーティ)のただ一人の党員で、この党の綱領は、いつか皮肉なユートピア小説の中に書きこんでみたいと思っている。
と、なかなか一筋縄ではいかないようです。
作風はとにかく、大法螺・誇張・皮肉・ユーモア・言葉遊び・etcが渾然一体となった不思議なものです。20世紀版ラブレーといった感、無きにしも非ず・・・かな?
SFと言っていいのかどうか、と冒頭に書いたのはこんな訳です。
一度は読んでおきたい作品ですね。
色いろな意味で頭が芯から揺さぶられます。
FC2の管理画面全体がやたらと重くて、更新に時間がかかってしまいました。
以前はよくあったのですが、最近は経験してませんでした。
何か有ったのかしら・・・。
ファウンデーション 映画化
以前ご紹介したアシモフ (Isaac Asimov; 1920-1992) の「ファウンデーション」映画化権を、コロンビア・ピクチャーズが獲得したとのニュースが少し前に有りました。
以前から映画化の噂はあったのですが、製作に入ったとの情報は入ってきませんでした。
どうやら映画化権を巡って、20世紀フォックスとワーナー・ブラザーズが綱引きをしていたようですが、そこにコロンビアが割り込んできて獲得してしまったようです。
ファンとしては監督が誰になるか非常に興味が有ったのですが、なんと、ローランド・エメリッヒのようです。
ローランド・エメリッヒと言われてピンとこない方でも、「スター・ゲイト」、「インディペンデンス・デイ」や「アメリカ版ゴジラ」、「デイ・アフター・トゥモロー」などを手がけた監督、と言えばわかるかも知れません。
最近では「紀元前1万年」などという映画も手がけましたね。
ところが、これを巡って失望の声がファンの間から漏れてきています。
カナダの映画サイト "Twitch" は、以下のように報じています。

(http://twitchfilm.net/site/view/oh-isaac-im-glad-youre-dead-so-you-dont-have-to-see-this/)
どう考えても、アシモフ御大の作風とは正反対のように思えるのですが・・・・・・。
エメリッヒ監督はアシモフ・ファンの期待に応えられるかどうか、非常に興味の有るところですね。
以前から映画化の噂はあったのですが、製作に入ったとの情報は入ってきませんでした。
どうやら映画化権を巡って、20世紀フォックスとワーナー・ブラザーズが綱引きをしていたようですが、そこにコロンビアが割り込んできて獲得してしまったようです。
ファンとしては監督が誰になるか非常に興味が有ったのですが、なんと、ローランド・エメリッヒのようです。
ローランド・エメリッヒと言われてピンとこない方でも、「スター・ゲイト」、「インディペンデンス・デイ」や「アメリカ版ゴジラ」、「デイ・アフター・トゥモロー」などを手がけた監督、と言えばわかるかも知れません。
最近では「紀元前1万年」などという映画も手がけましたね。
ところが、これを巡って失望の声がファンの間から漏れてきています。
カナダの映画サイト "Twitch" は、以下のように報じています。

(http://twitchfilm.net/site/view/oh-isaac-im-glad-youre-dead-so-you-dont-have-to-see-this/)
どう考えても、アシモフ御大の作風とは正反対のように思えるのですが・・・・・・。
エメリッヒ監督はアシモフ・ファンの期待に応えられるかどうか、非常に興味の有るところですね。